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御報告

2021.07.17 御報告

北海道頭痛セミナー2021 終了報告

北海道頭痛セミナー2021印象記

 札幌で今季初の真夏日を観測した2021年7月15日に,北海道頭痛セミナー2021が開催されました。コロナ禍のため,本年度は第一三共株式会社の共催を頂き,WEBオンラインセミナー形式での開催となりました。
 18:30より小生が開会のご挨拶をさせて頂き,続いて当セミナー世話人である,北海道脳神経外科記念病院副院長の吉本哲之先生の座長のもと,一般演題発表が開始されました。
 一題目は「COVID-19罹患中に片頭痛が増悪した妊婦の1例」という題名で,北海道大学病院脳神経内科特任助教の白井慎一先生がご発表されました。COVID-19の症状でも頭痛は比較的多いようですが,病気の特殊性から,元々の片頭痛なのか,他の原因(クモ膜下出血,髄膜炎,PLS,静脈洞血栓症など)による二次性頭痛なのかの鑑別が大変だったようです。感染対策の重装備のなかで各種検査,特に髄液検査やCT,MRIなどを行う上でかなり苦労があったことを報告されていました。最終的には片頭痛の増悪と診断され,スマトリプタンが効果的であったとのことで,文献的にもCOVID-19の片頭痛にトリプタンが用いられているようです。
 二題目は「反復性群発頭痛における妊婦と群発期の検討」と題して,中村記念病院脳神経内科副部長の仁平敦子先生がご発表されました。妊娠期間を挟んでそれ以前から通院中の反復性群発頭痛6例の検討で,興味深い事に6例全例が,妊娠期間中に群発発作を起こさなかったそうです。授乳期になると半数で発作が出現したとのことでした。海外での報告でも妊娠中は群発発作を起こさない割合が高いとのことでした。柴田先生もおっしゃっていましたが,片頭痛と同じように群発頭痛においても,女性ホルモン環境との関係が示唆される興味深い発表内容でした。
 19:10より当セミナー世話人である,北海道大学神経内科学教室教授の矢部一郎先生の座長のもと,特別講演が行われました。
「片頭痛:病態メカニズムの理解に基づいた治療の時代へ」と題して,東京歯科大学市川総合病院神経内科教授の柴田 護 先生がご講演されました。先生はまず「片頭痛とは」という定義づけでICHD分類の詳細な意味を解説されました。次に「片頭痛の病態をどう捉えるか」ということで,Dodick先生の「相(phase)を意識した」捉え方が重要と話されました。そして前駆期,予兆期,前兆期,発作期,発作後期とそれぞれの相で具体的なエビデンスを挙げられ,視床下部や吻側橋背側が予兆,前兆,発作期に関係していることを述べられ,次にCGRPの詳しい解説に移られました。以前から先生が行ってこられた自験データも含め,詳細かつ網羅的にご説明され,難しいながらCGRPの何たるかが分かる内容でした。特に三叉神経節の小型ニューロン内でCGRPとTRPV1が共局在を示し,末梢性のC線維ではCGRPが,Aδ線維ではCGRPの受容体であるCLR/RAMP1,AMY1などが発現していることを説明されていました。次に症例を提示され,CGRPがどのように片頭痛の痛み発現に関与するのかを具体的に説明されていました。最後に抗CGRPモノクローナル抗体薬であるガルカネズマブ(エムガルティ)の自験例3例を示され,従来の予防薬との併用などについても注意点を挙げられていました。CGRPは末梢に働き,これまでの予防薬は中枢への作動薬であるとの見識が,今後の抗CGRP抗体薬と従来の予防薬との併用の目安となるように思えました。また長期間の使用上の懸念点もいくつか挙げられ,特に下垂体系への影響の可能性も話されましたが,具体的な検査等による注意は今の所必要ないのではとのことでした。とても重要で役立つ内容ばかりの講演で,聴講された方も今後十分活用出来る内容だったと思います。
 今回はWEBセミナーの形式を取りましたが,来年は状況が許せばまた,従来の会場集合型の会に戻したいと考えております。少し早いですがまた来年に向け,北海道頭痛セミナー世話人一同,良い会を準備していきたいと考えておりますので,頭痛医療に興味をお持ちの皆様,当セミナーのホームページの定期的チェックをどうぞ宜しくお願い致します。

 令和3年7月17日
北海道頭痛セミナー代表世話人 北見公一
世話人一同

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