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御報告

2022.08.07 御報告

北海道頭痛セミナー2022 終了報告

北海道頭痛セミナー2022後記

 令和4年8月3日(水)に北海道頭痛セミナー2022がオンライン形式で開催されました。主催は北海道頭痛セミナー準備委員会で,昨年同様第一三共株式会社の共催を得て行われました。コロナ感染急拡大のなか,密を避け発表者のみが会場に入り,他の参加者は別室で待機するという形式で,質疑応答はWEBによる質問に演者が答える形式で,座長からの質問で何とか質疑応答の形式が保たれていた状況でした。今後はWEB上の質疑応答の方法の見直しが必要と思われました。

 18:30よりセミナー代表世話人北見より開会のご挨拶をさせて頂き,その後,平岸脳神経クリニックの及川光照先生の座長のもとで,一般演題2題が発表されました。

講演1は「肥厚性髄膜炎自験例の後方視的検討〜留意すべき二次性頭痛」という題名で,北海道大学病院脳神経内科の工藤彰彦先生が,肥厚性硬膜炎自験13例について発表されました。脳硬膜炎が12例,脊髄硬膜炎が1例でした。平均年齢は64.5歳で,経過全体で8割が頭痛を発症したそうです。63.6%で頭痛に加えて眼痛などの眼に関する症状があり,85.6%でCRP上昇を認めました。8例が硬膜生検にて肥厚性硬膜炎と診断されました。またT-SPOT陽性症例があったようです。特発性は7例で,IgG4関連肥厚性硬膜炎が2例見られたとのことでした。治療はプレドニゾロン,免疫抑制剤(MTXなど), エンドキサン大量静注療法が用いられています。診断確定まで平均18.4ヶ月で診断が遅れやすいことも指摘されていました。初発症状が眼痛でCRPが上昇していれば,この疾患を疑う必要があるとのことです。また頭痛診療ガイドラインの二次性頭痛を疑う項目を参考にして,二次性頭痛を見逃さず早期に診断を行うことが必要であるとされました。

講演2はいわみざわ脳神経内科・内科CLINICの山田恵子先生による「変動する外眼筋麻痺を呈し眼筋型重症筋無力症の合併が疑われた脳幹性前兆を伴う片頭痛の1例」
で,症例は30代女性。めまい,耳鳴り,難聴,頭痛で発症し,脳幹性前兆を伴う片頭痛の診断で治療中に,外眼筋麻痺を呈し複視が出現したとのことです。脳梗塞,脱髄性疾患,再発性有痛性眼筋麻痺性ニューロパチー(RPON)などを疑い検査したところ,エドロホニウム試験陽性が判明。眼筋型重症筋無力症(OCM)と診断しコリンエステラーゼ阻害薬の投与後複視は改善。頭痛も減少傾向にありますが,OCMとしても典型的ではなくさらなる経過観察が必要と考えているそうです。

 17:10より,中村記念病院脳神経内科 仁平敦子先生の座長のもとで,富永病院頭痛センター副センター長の團野大介先生による特別講演が行われました。題名は「片頭痛の更なる進化を目指してーエムガルティとレイボー登場による片頭痛診療のパラダイムシフト」というタイムリーなものです。先生は全国有数のガルカネズマブ(商品名エムガルティ)とラスミジタン(商品名レイボー)の使用経験から,実践的で経験に即した臨床に役立ちそうな投与法や使用上の注意点を述べられました。エムガルティに関しては,費用対効果を十分説明して,エムガルティを継続しながら他の予防薬を止めていく方法もあると示されました。またこれまでの海外や国内での研究発表内容に加え,私見と断られた上で,レイボーには眩暈が多いが,服用3日ほどで治まり頭痛改善の効果は良好なので,あらかじめ患者に説明して不安をとる服用指導することも,治療を継続するための一案であると話されました。またこれも私見ということですが,低容量からの開始を勧められました。更にレイボーとトリプタンの併用については,推奨することはできないが,併用には問題ないだろうと意見を述べられていました。実践的で詳しい使用方法と演者ご自身の使用経験から得た臨床知識を詳しく述べて頂き,大変実臨床での参考になったと思われます。視聴者からの多くの質問と座長からも具体的な質問がいくつか出され,特にレイボーについての質問が多く,丁寧に答えられていました。

 今回のセミナーは,一般演題の2題とも注意が必要な頭痛であり,知識として得ておく機会になったことは非常に良かったと思います。また團野先生に新薬の経験豊富な臨床実践結果をご講演いただき,その後の質疑応答でもこの分野での頭痛関係の医療者の関心の高さが伺えました。今後もこのようなタイムリーな内容の特別講演を企画していきたいと思います。来年はコロナが治まって会場とWEBでの二元的開催ができれば良いと期待しています。皆様次回も是非ご参加下さい。

                         令和4年8月7日
北海道頭痛セミナー代表世話人 北見公一
世話人一同

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